【最終更新日:2019/01/07】

医療費問題を訴える代替医療の論理について

医療費問題を訴える代替医療の論理について

これは業者時代から気になっていたことなのですが、せっかくなので記事化しようと思います。

国民医療費の負担を嘆く院が増えてきました

代替医療の世界には「キャッチコピー」にもブームが存在しています。一時爆発的に増えて、今はある程度落ち着いてきたキャッチコピーに「国民健康保険はもう破たんしている」という投げかけで始まるキャッチコピーがありました。 「このままでは国民健康保険は破たんする、というより実はもう破たんしているんです」という流れの論理です。それは正しいと思います。健康保険は年金同様に実質的に破綻を迎えているといってよいでしょう。借金で成り立つ仕組みはキャッシング地獄に陥っている債務者と何も変わりません。箪笥預金があるから~や銀行の預貯金が~といった理屈は屁理屈だと思います。 もう既に自転車操業というより「破綻しているのを理屈で誤魔化しているだけ」だと受け止めています。

保険診療を控えようと訴えている院

そんな状況の保険診療ですが、保険診療から離れた自費診療の院はこう訴えます。

  1. 「膨れ上がる医療費を何とか減らしたい」
  2. 「保険を乱用するのではなく、しっかりと身体と向き合おう」
  3. 「健康保険頼みの健康を何とか変えよう」

これも正論だと思います。私自身もヘルニア時代は健康保険を頼りましたが結局は健康保険ゆえの「杓子定規」的な対応をされ、神経痛の克服は無理でした。それどころか数分の診察とレントゲン・MRI撮影であっさりと残酷な宣告をされました。

  • 「手術しかない」
  • 「後遺症の可能性もある」
  • 「再発予防の為にいろいろと諦める事も覚悟して」

20代半ばのスポーツマンにこれはキツかったです。頼りにして行った専門家に「突き放された」と感じた瞬間でした。ダメなら駄目で仕方がないですが、もう少し「ベストな選択」を一緒に考えて欲しかった。患者を回す事が優先となる保険診療では無理な願いだと思いますが、1患者に過ぎなかった当時の私ではそれがわかりませんでした。 そして、結果的に私は師匠の院を紹介してもらい、ヘルニアを克服したのです。 保険診療はガイドラインに従った対応しかできません。そしてそれは私達患者が求めるものとはかけ離れています。

3割負担だから我慢しろ、はおかしいと思う

この話をした時、大抵の場合で「3割負担で済んでいるんだから仕方が無い」という意見が出てきます。多くの人が「安く受けることができてるんだから」と納得もしています。ですが、私はそれはおかしいと思う方です。 私達の窓口負担は確かに3割ですが、残りの7割は国に請求をしているのでしっかり10割の料金を取られているのです。それであの診察内容は流石におかしいと私は思います。 海外は高いから時間をしっかり取ってくれる。日本は安いから回さないといけなくて時間が取れない。これが一般的な理屈ですが、海外は10割負担、日本は3割負担だけど国が7割支払ってくれるだけ。お医者さんが得るのは10割に変わりありません。負担者の割合が違うだけです。 医療機器が高額だから、施設の管理費や人件費が、とか色々な意見も出てくると思いますが、それは経営側の問題なので私達患者には関係ありません。細かく調べた訳ではありませんが、何か変だなぁとは今も感じています。 話が逸れたので戻します。

【オチ】負担は全て患者様へ

  1. 国民医療費がパンクしている。
  2. 国民健康保険に頼った生き方はもう無理だ。
  3. だからしっかり自費でからだと向き合おう

確かにその通りなのですが、この理屈だと結局割りを食うのは患者様一人になる訳です。

  • 患者:3割→10割へ負担が増
  • 代替医療:10割→10割で損は無し

国民健康保険が破たんする、それを私は防ぎたい。でも割引などの男気を見せる気はない。医療費を何とか減らしたいと熱く国の未来を語る割には身を削る話は一切無い。ただ「保険が利かない当院へどうぞ」という話になるだけです。 「え?それだけ?」 掴みが壮大だっただけに、オチが「だから当院へきて」はちょっと急降下過ぎやしないかと何度も感じてきました。それでは「国民医療費を削減する為の取り組み」というよりその論理を使った「ただの集客」に過ぎないからです。

国民医療費を本当に削減するためには

自分が院を運営する中で改めて気付いた事があります。本当に国民医療費を削減しようとするなら方法はただ一つです。

  1. 患者力を育てる
  2. セルフメディケーションを浸透させる
  3. 生活の中で健康をコントロールできる様にする

いわゆる「セルフケア」をできる様に医学・健康・正しい生活習慣を一層身近にすることです。でも、それって「来院する必要性をなくす」という事でもあります。来院してもらい、施術をして対価を得るビジネスである以上、自分で自分の首を絞める事になるのです。 だから、そこまで突っ込む事はせずに「医療費を減らす為にも健康保険を使うのは控える社会へ」というお題目で止まらざるを得ないのでしょう。この点は私も悩みました。「実現すればする程に商売上がったりになるぞ」と。

改善するとは別の価値を提供する必要がある

患者様の患者力を育てつつ、さらには自分の院の来院もある程度は確保しないといけない。そうなると「痛い・しびれ」といった「今、目の前の症状」を改善させるというだけでは最早通用しない訳です。今は「予防の為にメンテナンス通院を」といった言い方が一般的ですが、患者力が育ち、身体との会話ができる様になるとそれだけ来院間隔は空いていきます。自分でできる事が増えていくからです。そして代替医療はそれを目指している矛盾した存在でもあります。 そうなると、症状の改善、メンテナンスといった分野以外にも自分の技術を応用させていかなくてはいけません。それが次の時代の代替医療が担う役割になるのではないかなと思います。実は私もまだまだ模索中です。

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