【最終更新日:2019/01/06】

ニュートンベッドについての記事1

椎間板ヘルニア1ヵ月半で改善:ニュートンベットの効果大

石川県小松市の整形外科・芦城病院は、積極的に物理療法を採り入れている事で知られ、患者の評判もいい。これは勝木道夫病院長の「人間は質のよい人生を送らなければならないし、医師はそのための最大限の努力をするべき」との考えによるもので、その信念と姿勢がさまざまな物理用法機器の採用に結びついている。

”QUALITY OF LIFE”の提案と実践である。

ニュートンベッドも三年前に導入した。勝木病院長が学会に出席した際に医療機器展示コーナーで目にとめ、その治療効果を期待して採り入れたのだった。

その期待はいまのところ裏切られていないし、予想以上の効果を上げているという。

「肩を固定する従来の牽引と違って、自分の体重で牽引するわけですからムリとムダがない。腰痛、脊柱に疾患のある患者さんにはいい効果を上げています」と水橋主任は語ってくれた。

脊柱管狭窄症二ヵ月で改善

まず著効例を上げよう。

症例1:【四十五歳 男性】

椎間板ヘルニアで芦城病院に入院した時には歩行不能の状態だった。

三ヵ月ほど前、自宅で洗面中に横を向きその拍子で急性発生したもので、以前にも椎間板ヘルニアを罹ったことがある患者だった。

急性期には遠赤外サウナ、SSPなどで治療し、硬膜外ブロックなども実施した。

その結果、二~三日で急性期の症状が取れた。そこで、治療法の中心をニュートンベッドに切り替え、一日一回70%の逆さ牽引を行った。時間は5分間。 もちろん遠赤外サウナ、SSPなどの治療も並行して行った。

その結果、約一ヵ月半でほとんどの症状が取れ、椎間腔の離解も認められた。

症例2:【六十歳 男性】

脊柱管狭窄症で間欠跛行が見られ、二十分ほど歩くと両下肢に痛みが走る。仙骨からブロックを行うとともにホットパック、SSP療法を実施、このあとニュートンベッドによる牽引を一日おきに行った結果、二ヵ月で間欠跛行が改善された。

この場合もニュートンベッドの角度は70%で、一回五分間の牽引であった。

運動療法にも利用

芦城病院では、このニュートンベッドを単に逆さ牽引療法としてだけでなく、ユニークな利用法を試みている。それは、ダイナミックな運動療法で、逆さ牽引をしながら腰を回転させたり、上半身を起き上がらせるのだ。これによって腹筋や背筋などが訓練される。

「椎間板に変性をきたすのは、常に中腰で作業をしているとか、前屈位を長時間保っているとかのライフスタイルのひずみで起こることが多い。これに対して、ただ痛みをとってやるだけでは本当の治療とはいえません。われわれ医師としては、こうした疾患の原因の中にまで立ち入り、以前のライフスタイルに復帰しても再発しないように筋力アップを図ってやる必要があるわけです」と勝木病院長は語る。

腰の回転運動はニュートンベッドを100%にして行うが、腹筋運動は30%程度からさまざまな角度で行っている。「従来のローリング式の牽引機にはないメリットです」と勝木病院長は指摘する。

ただし、このニュートンベッド利用の運動療法、とくに100%にしての腰の回転運動は、あまり高齢者には使えない。中高年の患者にはもっぱら30%程度での腹筋運動に限っているという。

中高生から30代が中心

芦城病院でニュートンベッドによる牽引を、比較的多く使っているのは、年齢的にみると中高校生から30歳代の男性になっている。

高齢者で背骨が丸く固まってしまった患者には、ほとんどその効果が期待できないという。その意味で、背骨が軟らかく新鮮な患者には「これまでのローリングなどの牽引にはみられない、強力な効果がありますね」と勝木病院長はいう。

女性の患者に、ニュートンベッドによる牽引を行う例は少ない。それは「単に服装の問題でたまたまそうなっただけ」で、スラックスなどを着用している場合は、もちろんニュートンベッドを使う。

ただし、自律神経失調症の患者には逆さ吊りによる精神的影響を考慮し、使わないことにしている。

SSP療法などと併用

ニュートンベッドによる牽引を行う場合、問題となるのは角度と牽引時間だ。

芦城病院では、安静期間中やブロックのあとでもニュートンベッドを使っている。もちろんこの時期の角度はせいぜい30度から45度ぐらいに抑えている。これによってニュートンベッドに慣れてもらうのが目的。

牽引時間はまず、5分間からスタートする。角度・時間ともに症状の経過をみながら徐々に増やしていく。ただ、牽引時間はそう極端に長くなることはないという。

ニュートンベッドは「ホットパック、ストレッチボード、SSpなどの療法との併用になるため、必然的に牽引時間は限られてくる」と勝木病院長は語る。

限りなく拡がる理想

勝木病院長は予防医学と治療医学、リハビリテーション医学、そして健康増進医学のあらゆる側面をカバーするという、他に例をみないトータル医療をシステム化している。

しかし、勝木病院長は、これだけではまだ満足しない。いま、考えているのは患者に与えるさまざまな精神的な影響の問題だ。

「将来的には1/fの音楽を流し、診察室などの色彩も工夫したい」と勝木病院長はいう。患者差の精神状態が疾病の回復に与える影響は大きい。患者に質の良い医療を受ける権利があるとすれば、医師は「より質の良い医療と医療環境を提供する義務がある」と勝木病院長は考えるのだ。

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